2025/1/19 ON AIR

 赤瀬アキノリです。二〇二五年一月十九日、日曜日。この時間は赤瀬アキノリのエナジーラジオをお送りいたします。

 先日、ジブリパークに行って来たわけなんですけど、なんとついに魔女の谷、行ってきました。いやー、すごかった。何がすごかったって、ハウルの家とかも、もちろんすごかったんだけど――トイレがすごかった。
 「オシャレな建物だなあ」って見ていると、なんだこれってトイレか、みたいなことがあるわけですよ。しかも三か所くらいそんな感じのがありまして、さすがジブリパークって感じです。
 魔女の宅急便にでてくるパン屋さんを再現したものがありまして――そのぐーちょきパン屋の行列に並んででも現地でパンを買って食べたいと思っていたんですね。しかし当日の天候はあいにくの雨。傘をさしながら一時間以上立ちながら待つのはしんどいということで、結局パンを買わなかったわけですが。
 それでもお店の外観だけなら自由に撮影することは可能だったので写真だけ撮って帰ることにしたわけです。もちろん、写真を撮る列もまたできていたわけですが、こちらの方はというと五分も待たないくらいの短い列。まあ、これくらいだったら余裕で並びますよ。
 そうしたら僕らの一つ前に並んでいたお客さんが、五十代のおばさんとおじさんだったんですね。すると何やらおばさんが少々大きめのボリュームで、
「あのパン屋で売ってるパンって、所詮ただのパンよ? みんな雰囲気を楽しみたいだけなのよ」
 って言っていて。
 いやぁ、めっちゃ冷めること言うやん。
 気持ちはわかるよ。僕らだって雨が降りしきるなか、あの長い列をみて、「よしっ、並ぶのやめるか」って即答しましたし。
 でも実際あんなふうに大々的に言われちゃうとねえ。しらけるを通り越して、なんだから笑いが込み上げてしまって。一緒に来ていたツレと僕は、自然と無言で視線を合わせるわけですよ。半笑いで。この人なんなんだ的な感じで。
 そしてほどなくして、例のおばさんたちの写真撮影のターン。おばさんはぐーちょきパン屋の窓にかかっている、パンでできたリースみたいなものがあるんですけど、その横に立つわけです。
 そしたらですよ。右手でリースの方をさしながら、笑顔でポーズをとったんですよ。
 それも満面の笑みで。
 いかにも「ジブリパークに行ってまいりました」、みたいなポーズ。
 これを見て、僕ら二人はもう大爆笑ですよ。だって「所詮ただのパンよ?」、「みんな雰囲気を楽しみたいだけなのよ」って、ついさっきまで言っていた当事者がめっちゃエンジョイしてんの、草はえるでしょ。前フリがすごいなあ、おい。
 おそらくだけどこの写真って、向こう一ヶ月間くらいおばさんのfacebookのアイコンに使われるんじゃないかな? ――そんな写真の撮影が終わり、いよいよ僕らのターン。
 ツレがぐーちょきパン屋の店の前に行き、僕がカメラを構えます。そしてとったポーズはというと――
 さっきのおばさんと全く同じっ!
 おばさん、まだ近くにいるから。バレたらどうすんだよ。とか思いながら。
 ジブリパーク、面白いのでぜひ皆さんも行ってみてはいかがでしょうか?

 本日のメッセージテーマは『笑っちゃいけないけど面白かったこと』です。あなたが経験した、笑っちゃいけないけど面白かったお話を紹介してください。エピソードを提供してくれた方には、番組特製ステッカーをプレゼントしちゃいます。

《うっわー。せっかく指定席取ったのに、よりによって16号車かよ。自由席並みに歩かされんじゃん!》
《赤瀬アキノリのエナジーラジオ!》

 引き続き、この時間は赤瀬アキノリのエナジーラジオをお送りいたします。
 僕が経験した『笑っちゃいけないけど面白かったこと』といえば、以前に美容室に行った時の出来事でしょうか。斜向かいの席に北欧系の外国人の方がいたんですけれども――見た目がそれこそホグワーツ魔法学校にいそうな感じの人。「へえ、ハグリットもここ利用しているんだー」ってぼーっと見ていたわけです。
 そしたら、僕の担当していた美容師さんが、
「最近、外国の方も利用してくださっていて」
 って話しかけてきたんですね。
 聞くところによれば、そのお客さんは日本語をしゃべれる人ではないとのこと。なおかつここに勤めている美容師さんたちも英語が堪能な方がいないみたいらしいです。
「我々も手ぶり身ぶりと簡単な英語でなんとか意思疎通しているんですよ。それこそイエス、ノーとか、そんな感じで」
 へえ、そうなんですねー。って僕は平然と相槌していたわけなんですが、当然のことながらハグリットにも担当の美容師さんがついていて、色々やってくれているわけですよ。本当に意思疎通取れているのかなって、たまにちらっと見て確認していたわけです。
 そうしたら彼の頭めがけてスチームみたいなのをめっちゃ吹き付けていて。なんかもう、そこ一帯がすごいモクモクしてんの。明らかに通常メニューにはないオプション。普通にカットするだけだったら絶対あんなふうに蒸気をいっぱい当てられることはないから。
 頭をモクモクさせているの見てたら、「ハリーポッター感マシマシなんだけど」って思ってしまって、なんだか笑えてきたんですよね。魔法使えそうなオーラをまとっている感じといいますか、もう脳内ではハリーポッターのテーマ曲がかかってますよ。
 そこでふと思い出すわけです。
「我々も手ぶり身ぶりと簡単な英語でなんとか意思疎通しているんですよ」って言っていた美容師さんの言葉を。
 いや待てよと。
 ワンチャン、本人も頭に何されているか、よくわかってない説あるくない?
 ナンカ、モクモクしてるけどナンデスカこれ? みたいな感じで。
 そんなことを考えたら僕はめっちゃ笑いそうになって。だって、ハリーポッター感マシマシのハグリットみたいな人が、意思疎通取れてないがゆえに本人もよくわかってないスチームをあてられていたとしたら、いやもう笑うでしょ。かといって他人の施術を見て爆笑する客っていうのも、本人からしたら失礼極まりないわけで。だから笑いを堪えるの必死で必死で仕方なかったんですよね。あの時は。
 そんでもって挙句の果てには、
「赤瀬さん、笑ってません?」
 ってな感じで僕の担当の美容師さんにはバレてしまったんですけどね。
 ということで本日のトークテーマは『笑っちゃいけないけど面白かったこと』です。あなたが経験した、笑っちゃいけないけど面白かったお話を紹介してください。エピソードを提供してくれた方には、番組特製ステッカーをプレゼントしちゃいます。

《小学生の頃、「ディズニーランドとディズニーシーどっちに行きたい?」と聞かれた僕。「いや僕はディズニーBに行きたいんだけど」って答えました》
《赤瀬アキノリのエナジーラジオ!》

 え? ディズニーBって何?
 いやー、ちょっと言い訳させてください。皆さんご存じの通り、日本にあるディズニーのテーマパークのなかで最初にできたのが、ディズニーランドじゃないですか。僕はこれを勝手にディズニーAだと思っていたんです。いや、なんでだよって思うかもしれないけどさ。まあ聞いてよ。開園した順番にアルファベットで名付けていくみたいな風習がきっとあるんだろうなって思っていて。簡潔にいえばディズニーシーのシーの意味をアルファベットのCだと間違って認識していただけの話なんだけどさ。当時はそんなことわかるはずもなく。ディズニーランドがディズニーA、ディズニーリゾートがディズニーB、ディズニーシーはディズニーCみたいなふうに思っていたわけです。そもそもディズニーリゾートの認識自体が間違っていることはさておき、二年前に子ども会でディズニーランドすなわちディズニーAに行ったわけだから、次は順番でいったらディズニーBだよねって思ったわけです。皆さま、ご理解いただけたでしょうか?
 いや、だからなんでだよ!
 僕もそう思ってます。
 さてさてそれでは早速メッセージを紹介していきましょう。

 ラジオネーム、筋肉ウーマンさん。

 オンラインで作業会をしていた時のことです。ある女性が「洗濯機回します」と宣言しました。すると他の人が「力持ちですね」と返しました。その女性が小さな身体で洗濯機を持ち上げ、頭の上でぐるぐるとぶん回す。そんな画を思い浮かべて笑いがこらえられませんでした。

 いやー、こういうの結構ありますよね。よくあるのが、散髪した後に聞かれる「頭切った?」とか。頭は切断してないんだよなあ。みたいな。

 続きましてラジオネーム、やはり俺のカロリー計算は間違っている。さん。

 私が通っているジムには名物おじさんがいます。トレーニングの時間が被るとどうしても笑ってしまうんです。
 そのおじさんはお世辞にも筋骨隆々とは言えず、どちらかと言えば細身なんですが、ダンベルを持ち上げる度に奇声をあげるんです。
 どんな声かというと「アァ~~~~~~」とか「キェェェェェ!!!!」とか「ハアン♡」みたいな。
 私が早朝に行くと大体いつもいるので、すごく熱心な方なんだと思います。筋トレの最中も彼はいたって真面目な表情で取り組んでいるので笑ってはいけないと思うんですけど、どうしても噴き出しそうになってしまいます。
 私はどうすればよいでしょう?

 ちょっと待って。僕にハアン♡なんて言わせないでくださいよ。
 でも確かにふとした瞬間に出てしまう声って、笑っていいものかって悩みますよね。
 高校の時の体育の先生がまさにそうで――野球部の顧問をやっているような強面の先生なんですけれど、彼、花粉症なんです。春先になるとよくくしゃみをするわけですが、
「シュワッチ!」
 ってな感じでめっちゃウルトラマン。
 怖い先生だから笑っていいのかわからないし、あの時は結構困りましたね。

 ラジオネーム、ツーツーツナシェリーさん。

 僕のおばあちゃんは「ツ」が言えません。というかおばあちゃんに限ったことではなく、僕の地元のお年寄りは「ツ」の発音が全部「トゥ」になってしまいます。たとえば「ツツジ」は「トゥトゥジ」といった具合です。
 そんなおばあちゃんが病院へ診察にいった時の話です。県外から赴任されたお医者さんの「朝ごはんは何を食べましたか?」という問いにおばあちゃんは「トゥナ」、「最近お出かけはしましたか?」という問いに「友人とバストゥアーに」と答えたんです。
 それをきいてお医者さんが一言「ずいぶん英語の発音がお上手ですね」って。
 お医者さん、おばあちゃんは一度も外国へ行ったことがなく、英語も話せないんです……。

 いやー、ぜひともこのおばあさんに言ってほしい言葉がありますよ。
 つつがなく、つつく、つつがむし、つつしんで、つつうらうら。
 企画が『ケンミンショー』みたいになりますけれど。いや、『月曜から夜ふかし』かなあ?

 ラジオネーム、昼夜逆転さん。

 私は普段から人が付けている腕時計に目が行きがちです。先日の飲み会でも、男性に「その時計カッコイイですね」と声をかけると、「Gショックなんで大したことないですよ。アップルウォッチ、僕もつけたいんですけどね」と私の付けていたアップルウォッチを指さしました。
「アップルウォッチいいですよ。職業柄ダメとか?」と聞くと、
「いや、『何時何分、ご臨終です』って言う時に充電切れてたら困るからね。やっぱり針がないとね」と半笑いで。
 冗談かと思いましたが、本当に外科のお医者様だったので、笑ってはいけないと思いつつ、面白くて笑ってしまいました。針が重要らしいです。針が。

 外科医だけに針が重要なんですね。なるほど。
 いやこれねえ、この医者の方の鉄板ネタですよ。きっと。

 ラジオネーム、敏捷的なプリンさん。

 知人が先月、首を切開する類の手術を受けてきました。全身麻酔を伴うそこそこ大きな手術で、知人は緊張しながらも温かい家族の声援をお守りにその手術に挑んだそうです。手術室に入り、看護師、執刀医も揃い「いざ手術」となったタイミングで、執刀医の「おい、これLサイズじゃないだろ」という声が聞こえました。看護師が「Lサイズがなくて……」と返答すると、それに対して「なきゃ困るだろ! どうなってるんだ!」と執刀医が怒り出す始末。「おい……! 俺の首という大事な場所の手術前にチームワーク大事やろが……!」と知人が焦り出したタイミングで、「はい、麻酔注射しまーす」と静脈に麻酔を打たれ、知人はそのまま意識を失いました。
 結局手術は無事終わったそうですが、自分の大事な手術前に喧嘩をし出した医者と看護師に心の底からテンパったそうです。
 本気で怖かったであろう知人には申し訳ないですが、そのエピソードを聞いて思わず笑ってしまったため、こちらに投稿させていただきます。

 手術前に喧嘩なんかされたらたまったものじゃないですよね。僕は今まで手術を受けたことがないのですが、高校の時の数学の先生が手術を受けたって言ってたなー。微分の授業そっちのけでエピソードトークしていた時があったから今でも覚えてるんだけど。その先生、色々あってアキレス腱の手術を受けることになったわけです。全身麻酔じゃないから執刀医の様子が見られる状態で手術を受けたわけなんだけど、
「あんたさあ、生徒にちょっと良いところ見せたかったのかもしれないけど、準備体操もせずにバスケなんかやったらそりゃそうなるわ。あんた、もう若くないんだからさあ」
 って執刀医からお説教。手術中に何度も「若くないんだからさあ」っていびられては、「はい、すみませんでした」って謝って。
「こっちも忙しいんだから勘弁してほしいわ」
「すみませんでした」
 手術中ずっとこんな感じだったそうです。
 いっそのこと、全身麻酔にしてくれーって思っちゃいますねえ。

 さて、番組では引き続きメッセージをお待ちしております。メッセージテーマは『笑っちゃいけないけど面白かったこと』。エピソードは自分自身のことでも、身の回りにいる人でもかまいません。どしどしお送りください。番組内で紹介された方には、特製ステッカーをプレゼントいたします。
 お知らせの後は『リスナーのネタ帳』のコーナーです。お聞き逃しなく。その前に一曲お届けいたしましょう。

   ♪♪♪

 ラジオ番組のパーソナリティを降板して早くも半年。今もなお、時間になれば深夜の自室で番組を続けている。
 かつて存在した冠ラジオ番組、『赤瀬アキノリのエナジーラジオ』。
 今となってはトーク中に笑いをそえてくれていた放送作家もいないし、技巧を凝らしたメッセージを送ってくれるハガキ職人もいなければ、なんならリスナーすらいやしない。
 もはやただひとりで行う――自己満足の時間。
 けど、それでもいいんだ。
 リスナーと再び会えることを切に願いながら――
「お届けしましたのは、LiSA×Uruで『再会』でした」
 僕は番組を再開する。

〔後書き〕
 本作に登場するラジオ投稿メッセージは、文芸処のメンバーの方からいただきました。
 筋肉ウーマンさん、やはり俺のカロリー計算は間違っている。さん、ツーツーツナシェリーさん、昼夜逆転さん、敏捷的なプリンさん、エピソードのご提供ありがとうございました。